宿坊　水野

　聚長職を預かって20年余、多くの皆様のお力添えに感謝いたしながら、神明奉仕に力を尽くすとともに、講中の皆様や観光でご滞在の皆様のお世話をさせていただいております。

　旧奥院の衆徒として、現奥社にあった時代から160余年、水野はゆかしい歴史の宿としてご家族連れの文筆家の皆さまはじめ、多くのお客さまに親しくご利用を賜っております。
また当館は、戸隠の自然をこよなく愛した詩人・津村信夫氏がしばしば滞在し、執筆やくつろぎの時を過ごした宿でございます。氏が滞在した「春の間」は、今もそのままの姿で、津村信夫ファンや文学研究者に親しまれ、旅人にやすらぎを提供しております。なお津村氏の作品『戸隠の絵本』中の一編「少年」は、当家がモデルです。

　摘みたての山菜、イワナ、戸隠名物手打ちそばなど、山里の四季をご堪能いただける手づくりの味わいをお楽しみいただいております。

　5月中旬頃、薄紫色の可憐な花を咲かせるトガクシショウマをはじめ、カタクリ、ショウジョウバカマなど愛らしい山野草が庭を彩ります。澄んだ空気の中、気軽な散策をお楽しみください。