斎場

熊の石塔から進んでいくと現在の吉田分校の裏の道に出てきます。

そこにかつての焼き場があります。市営の火葬場が出来るまではここで弔っていたため、積み上げた石がいたわしく、端々に立つ六地蔵も哀れを誘います。

前原と呼ばれるこの辺り一帯は死者が集う霊界であったのです。



商工会館前道標

商工会館・観光案内場の角にある道標には「右宝光院御宮  左鬼無里」とあります。かつては戸隠往来と呼ばれた大望峠に続く鬼無里への道でした。

この商工会館前の県道に注連縄が張ってありますが、これは

「ここから先は下界とは異なる戸隠世界である」

という印であります。戸隠の参詣者が日常を越えた世界に足を踏み入れるという意味があります。

またすぐ横の道を少し進むと動物句碑も叢の中にあります。

「如是畜生発菩提心」(動物といえども菩提心を起こすのだから人間も当然)とあります。
前原は動物にとっても弔いの場であったのです。