法華経残闕

重要文化財 昭和9年1月30日指定








一字宝塔法華経残巻とも。全4巻。灰白色のこうぞ紙(一説には麻紙様)を用い、その全面に宝塔図様を雲母摺りであらわす。塔は一層の壇の上に塔身を置き、上に乗る屋根の端には、相輪の宝珠からのびた宝鎖が連結。この塔形を繰り返して、縦に8基、横に30基連ねた料紙を継紙とし、一塔に一字ずつ墨書している。
紫檀(したん)に螺釦(らでん)の飾りをつけた六角軸と表紙の紫地錦、金箔紙の見返し、組み紐の帯、および用紙の全面的裏打ちは昭和28年に補修した際のもの。
平安時代に貴族などの発願によって制作された美麗な経典の一つで、一説には筆者は平安時代末期の藤原定信(1088~1156)といわれる。江戸時代に一部がいくつかの断片として切り取られ「戸隠切」として珍重された。